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NHK土曜ドラマ 「ロング・グッドバイ」 (レイモンド・チャンドラー原作 2014年) 全5話

 

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土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」 | NHKドラマ

 

 舞台は戦後間もない東京。私立探偵増沢磐二(浅野忠信)は、行きずりの原田保(綾野剛)といつしかバーでおごり合う仲となるが、ある夜「人を殺した」と言う原田を、台湾行きの船が停泊している横浜港まで送る。

 

 果たして、原田保の妻で女優の原田志津香(太田莉菜)が遺体で発見された。

 ドラマの冒頭、彼女のやりたい放題のワガママ・傲慢振りはエキセントリックだが、嫌みのない素直な様子が痛々しく切ない。死後公開された主演映画はB級怪奇映画の魅力満載。

 早々に逝ってしまった彼女は、このドラマではある意味さわやかだったかもしれない。
 

 増沢は、原田保の逃走幇助の罪に問われた。彼は岸田警部補(遠藤憲一)の手荒な尋問にも屈せず彼の無実を信じる。

 殺された女優の父親・原田平蔵(柄本明)は、獄中の増沢に何故か弁護士(吉田鋼太郎)を寄こすが、増沢はその申し出を拒否してしまう。

 弁護士は原田平蔵の秘書に経緯を報告する。秘書は、なぜ彼は原田にそれほど義理立てするのかと疑問に思い、弁護士は「仁義」というヤツではないか、と言う。
 横でやり取りを聴いていた原田の娘・高村世志乃(冨永愛)は思わず笑ってしまった。 
 

 バー「VICTORS」にいる増沢を世志乃が訪ねる。
世志乃「なぜ、あなたは原田保が無実だと信じるの?」
磐二「彼は人を殺せるような人間じゃない。それに、誠実な男だからですよ。」
世志乃「私はイヤな女と一緒にいる時、自分がイヤになるわ。あなたは彼といると、自分が誠実でいられたのね。」
 
 物語は、戦後の日本ではもはや見られなくなった「誠実さ」に頑なにこだわり続ける男、増沢盤二を軸に展開する。